全空間画像計測コンソーシアム設立にあたり

全空間画像計測コンソーシアム会長 藤垣元治


 全空間画像計測技術に関する技術移転の取り組みの一環としまして,関連する皆様のご協力をいただき,2009年12月に「全空間画像計測コンソーシアム」を設立いたしました.
 全空間画像計測技術は,光や画像,超音波などを利用して,高速・高精度に物体の外観検査や内部欠陥検出を行う技術です.これを活用することによって,品質の高い競争力のある製品づくりを行うことや,インフラの長寿命化,防災・減災にも役立たせることができます.本コンソーシアムでは産業界との連携を深めることで,本技術を実用的な方向に発展させるとともに,技術の普及を促進させる活動をしていきます.
 これまでに光波画像計測研究室と波動エレクトロニクス研究室で得られた研究成果は,多くの産業分野に展開が可能な技術です.そのため,今後さらに発展して,工業製品やインフラ構造物の計測や検査,医療・福祉・服飾のための人体計測,農産物や考古物の計測など多くの対象に応用されることが期待されます.今後の発展を進めるために,関係する人や機関とチームを組んで活動する体制をつくりはじめました.それが「全空間画像計測プロジェクト」です.「全空間画像計測コンソーシアム」は,「全空間画像計測プロジェクト」の大きな柱のひとつという位置づけです.
 画像計測のことを「全視野計測」と呼ぶことがあります.本プロジェクトでは,視野として見ることができる物体表面だけでなく,内部の情報も超音波画像やCT画像のように画像として計測することをめざしています.そこで,物体の外も内も空間全部を画像として計測していこうということで「全空間画像計測」と呼んでいます.
 下の図に「全空間画像計測プロジェクト」のスキームを示します.大学でブレークスルー技術の研究開発を行い,それを広く産業界に技術移転をしていくというのがこのプロジェクトの目的です.大学ではできない部分は,ベンチャー企業やコンソーシアムが担当します.コンソーシアムでは産官学の連携を深め,情報交換だけでなく企業間の連携を作ることも行います.
 実際に装置化するためには,ソフトだけでなく機械的なモノづくり技術も電子回路の技術も必要になります.ソフトが得意な企業とハードが得意な企業と連携することで良いものを素早く開発することができます.そういう連携も手伝えるようなコンソーシアムにしていきたいと思っています.
 本コンソーシアム設立に際しまして,多くの方々と関係機関のご協力をいただきました.とくに和歌山県からは大きなご支援をいただきました.厚くお礼申し上げます.
 設立後足掛け3年になりますが,すでにコンソーシアムの会員企業と一緒に,大型の競争的資金を得ることや共同研究を始めるなど,目に見える活動が動き始めています.その中には,新規に計測装置の開発に取り組み始めた企業もいくつかあります.企業から派遣された研究員に対する技術研修も進めています.近いうちに,大学発ベンチャーを作って,さらに技術移転を加速して進めていきたいと思っています.
 今後ともよろしくお願いいたします.



(2011年3月 加筆)


これまでの活動は,こちらをご覧ください.